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オススメ書籍・メディア

こちらのページでは、ヒプノセラピー各講座の学びとあわせてお勧めしたい書籍等についてご紹介しています。お勧めの作品は多数ありますが、その中から、ヒプノセラピーの活動に役立つ内容のものを取りあげました。ネタバレにはなりますが、さまざまな書籍にご興味を持っていただき、学びを深めるきっかけにしていただければ嬉しいです。

 

創刊号の今回は、JBCHベーシックコースで紹介されている『笑いと治癒力』と、世界的に有名な『アウト・オン・ア・リム ― 愛さえも越えて』の2冊をご紹介します。

 

項目

●『笑いと治癒力』

●『アウト・オン・ア・リム ― 愛さえも越えて』

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『笑いと治癒力』

ノーマン・カズンズ著 
松田銑訳

「笑いで病気が治る」と聞いて、人はどう感じるでしょうか。「そんな原始的な方法でできるはずがない」と最初から否定する人が多いかもしれませんが、ストレス社会かつ長引くコロナ禍の現在、その可能性に期待する人も少なくないかもしれません。著者のノーマン・カズンズは、難病と分類される重症の膠原病を、笑いとビタミンCによる独創的な治療で克服しました。その体験が本書で綴られています。
 
JBCH認定ヒプノセラピーベーシックコースのテキストの冒頭で紹介される一冊である本書では、「患者は心の中に自分の医師(内なる医師・インナードクター)を囲っている」という重要な言葉が紹介されています。これは、アフリカのとある地域(現ガボン共和国)で医療活動を行っていた旧ドイツ出身の医師アルベルト・シュバイツァー博士の言葉です。「人間が本来持っている自己治癒能力を最大限引き出すのを手伝うのが医者やセラピストであり、治すのは患者(クライアント)自身である」というものです。
 
それは、私たちの知る西洋医学的な「現代の一般的な常識」とは言えないものの、昨今のコロナ禍や世界情勢というストレスの中で、自己治癒能力やプラシーボ効果についての関心はますます高まっているのではないでしょうか。カズンズは、「プラシーボは、その各人の中に住んでいる医者」と表現していますが、内なる医師に限らず、代薬、イメージ、音楽、ユーモアなども挙げています。
 
プラシーボの言葉の起源は、ラテン語の「わたしは喜ぶだろう」という動詞だそうです。興味深いのは、患者がプラシーボだと知ったら、プラシーボの生理的な効果は生じないということです。だからこそ、「治ると期待をもたせること、信じさせることこそが大切だ」という考えが紹介されています。
 
カズンズは、「楽しい心は医師と同じ働きをする」という聖書の一文も紹介していますが、これには古代の叡智が感じられます。カズンズは自身の病気と向き合う過程において、一貫して、心身により快適なことを追求した結果、効果が現れたようでした。また、カズンズはある病気を抱えた若い女性にアドバイスをしました。それは、自然にその女性や家族が笑うことにつながるもので、実際に彼らは次第に明るさを取り戻していったのでした。
 
本書は、西洋医療を否定しているものではありませんが、代替医療や、どんな人でも自分自身が持っている可能性について大いに学べる内容となっています。原書で発表されたのは1979年とやや時間が経っている作品ではありますが、ヒプノセラピーにおける大切なエッセンスについて、また、人間の持つ可能性について学べるという点では、2022年現在でも色褪せない内容と言えます。これからも、ベーシックコースのテキスト同様に、ヒプノセラピストとしての原点を思い出すことを助けてくれそうな一冊、ということでお勧めしたいと思います。
 
 
<編集担当より本書を読んでの感想>
私は、2020年秋にベーシックコースを学んですぐに本書を読んだため、ヒプノセラピーへの理解がより深まったことをよく覚えています。その効果として、あくまでも私の個人的な経験ではありますが、長年苦しんでいた花粉症がほとんどなくなり、昨年(2021年)はじめから一度も医者にかかっていません。意識の向け方が変わったからでしょう。「病は気から」という表現にも納得する思いでした。こうした劇的な変化に、プラシーボの素晴らしさを改めて実感しました。「わたしは喜ぶだろう」というラテン語も素敵ですよね。ヒプノセラピーをもっと学び、広めていきたいという気持ちになりました。

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『アウト・オン・ア・リム 

愛さえも越えて』

シャーリー・マクレーン著 
山川紘矢・山川亜紀子訳

タイトルの『アウト・オン・ア・リム』とは「枝先の果実をとるために身を乗り出すことから « 危うい状況に »、« 非難を受けやすい »という意味」だとあります。
本書は、著者が精神世界に目覚めていく体験を綴った、自伝的な内容となっています。名声ある女優として活躍していた彼女が本書を公表することは、まさしく「アウト・オン・ア・リム」だったということでしょう。
 
本の内容を紹介する前に、著者のシャーリー・マクレーンを取り巻く宗教観について触れておきます。
シャーリー・マクレーンは、1950年代から活躍した米国出身の女優です。本書が発売されたのは1986年です。アメリカはキリスト教徒の多い国ですが、現在キリスト教では、「生まれ変わりはない」とされています。
 
JBCHの講座を受講されたみなさんならご存知でしょう。元々キリスト教に生まれ変わりの思想はあったのですが、325年のニケア公会議で生まれ変わりの記述が聖書から削除され、後に生まれ変わりの思想は異端とされました。キリスト教で国を治めていくために、「生まれ変わりの思想は都合が悪い」ということで「人は死んだら終わり」とされたのでした。
 
時を経て、アメリカで広く信仰されるようになったキリスト教もその影響を受けており、彼女の生きた時代でもなお、「« 生まれ変わり »や « スピリチュアルな世界 »はあり得ない」、という考えが一般的でした。
 
また、彼女は、パートナーとの関係にもどかしさを感じていました。自身は離婚してシングルだったのですが、相手は既婚者で、次期英国首相になるだろうとも言われる政界の時の人。彼が離婚することはないだろうし、シャーリーとの関係がバレたら政治生命を失ってしまう!という状況でも、2人は惹かれ合い、世界中で逢瀬を繰り返していたのでした。
 
そんなあるとき、彼女は周りの友人たちとの交流を通じて、精神世界への扉を開いていきます。精霊とチャネリングするという霊媒を紹介され、その精霊たちから、パートナーの彼との前世での関係を聞かされたり、友人から精神世界を理解するための手助けをされたりしました。
 
スピリチュアルに理解のある人との語らいに安らぎを感じることもあれば、「前世」の話題をするとパートナーの彼や友人から変人扱いをされて悲しくなることも。戸惑いながらも、自らの感じるままに精神世界を理解し、彼女が自己探求を深めていく、という話になっています。
 
発売されると同時に世界的なベストセラーになった作品なので、この本をすでに読まれた方は多いのではないでしょうか。
 
精神世界を理解するプロセスや宗教観は人それぞれですが、著者は自身の体験を通してその一例を紹介してくれています。また、どのように生きていくかという価値観も人それぞれです。本書に出てくる婚外恋愛のような、世間一般には認められない関係で悩む人もいるかもしれません。
 
彼女はツインソウルに何度も「何事にも二面性がある」と教えられたと言及しています。良い面と悪い面の融合、東洋と西洋の相互理解…こうしたことは、ヒプノセラピストとしてバランスを保つことを教えてくれているような気がします。ヒプノセラピストとして、個々のスピリチュアリティーを尊重する、多様な考えに触れるという意味でも勉強になるので、本書を読んでみることをお勧めしたいと思います。
 
 
<編集担当より本書を読んでの感想>
シャーリー・マクレーンが自己探求を深めていく姿は、ヒプノセラピーを学び進めていく私自身に重なるように思えました。JBCHで勉強することで、様々な考えを知ることはもちろん、自分の過去を振り返ることができたからです。本書を読んで、自分や自分が経験してきたことをより認められるようになった気がします。
 
また、彼女の家族や恋人が自己探求のきっかけを作ってくれたように、彼女のツインソウルが精神世界への理解を手助けしてくれたように、私にもたくさんの出会いがあったことに気づかされました。たくさんの学びを通じて、人は、私は、生きていくのだということを実感し、読み終わったあとは、この人生で出会うすべての存在に感謝したいと、なんとも壮大な気持ちが湧きあがりました。

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